土木建築東村山駅付近連続立体交差事業

鉄道と街の基盤を、
未来へつなぐ

鉄道を止めずに、街を変える01

踏切をなくし、鉄道によって分断されてきた街を一つにつなぐ。東村山駅付近で進められている連続立体交差事業は、完成までに10年以上を要する、首都圏でも有数の大規模インフラプロジェクトだ。線路を高架化し、道路と鉄道を立体的に交差させることで、慢性的な渋滞や事故リスクを解消する。同時に、街の回遊性を高め、将来の街づくりの可能性を広げていく。今回話を聞いたのは、その壮大な事業全体ではなく、その中の一部区間・一部工程を担う二人の土木・建築技術者だ。鉄道事業者として調整と判断を担うIさんと、現場で施工管理を行う立場で現場を支えるOさん。二人の仕事は目立たないが、確実にこの街の未来を形づくっている。

MEMBERプロジェクトメンバー

  • Iさん

    建設部 連続立体交差化事務所 /
    主任・総合職

    鉄道事業者側の立場から、連続立体交差事業における設計や工程調整、関係機関との協議を担当。「鉄道を止めない」ことを前提に、将来の維持管理まで見据えた判断を担っている。

  • Oさん

    建設部 連続立体交差化
    事務所 / 専門職

    現場で施工管理を行う立場で、連続立体交差事業の現場調整や安全管理を担当。限られた作業時間の中で、工程を確実に成立させる役割を担っている。

  • CHAPTER01

    巨大プロジェクトの中で、
    鉄道事業者として判断する

    東村山駅付近連続立体交差事業には、国、東京都、市、鉄道事業者、設計コンサルタント、施工会社など、数多くの関係者が関わる。工程は長期にわたり、調整すべき事項は膨大だ。Iさんは、西武鉄道の建築技術者として、鉄道事業者側の立場から、自身の担当範囲における工程管理や関係機関との調整を担ってきた。
    「東村山全体を一人で見ているわけではありません。あくまで、その中の一部区間、一部工程です」
    そう前置きしながらも、Iさんは続ける。
    「ただ、自分が担当する範囲については、その判断が全体工程や将来に影響することを意識しながら仕事をしています」
    鉄道は、工事のために止めることができない。列車運行を前提とした条件の中で、工程をどう組み立てるか。周辺地域や利用者への影響をどう抑えるか。行政や施工側の意見をどう整理し、合意をつくるか。
    「技術的に正しいだけでなく、鉄道事業者として、説明責任を果たせる判断かどうかを常に考えています」

  • CHAPTER02

    判断の重さが、
    そのまま未来につながる

    連続立体交差事業は、数年単位で進む工事だ。一度決めた方針は、簡単には変えられない。Iさんは、工程を検討する場面をこう振り返る。
    「一つの判断が、関係者全体に影響します。だからこそ、条件を整理し、将来まで見据えて決める必要があります」
    目の前の工事を成立させるだけでなく、完成後、その構造物がどのように使われ、維持されていくかまで想像する。
    「完成はまだ先です。でも、今の判断が、10年後、20年後の街の基盤になる。そう考えると、自然と気が引き締まります」
    派手な成果がすぐに見える仕事ではない。それでも、Iさんはこの仕事に確かな手応えを感じている。

  • CHAPTER03

    「安全」「工程」「将来」を
    同時に成立させる判断

    一方、Oさんは、現場で施工管理を行う立場でこの事業に関わってきた。工事が計画どおり、安全に進むかどうか。その成立を現場側から支える役割だ。
    「夜間作業が中心で、限られた時間の中で工事を進めます。列車が走り始める時間は決まっているので、一つひとつの作業を確実に終わらせる必要があります」
    現場では、手順どおりに進めることが何より重要だ。一つの工程が次の作業条件を決めるため、その日の作業を確実に完了させる意識が欠かせない。
    「事前の確認や関係者とのすり合わせをしっかり行い、当日は迷いなく作業できる状態をつくることを大切にしています」
    翌朝、何事もなく列車が走っている。その光景を見るたび、Oさんは静かな達成感を覚えるという。

  • CHAPTER04

    「一部」を確実に
    積み上げるという仕事

    連続立体交差事業は、数多くの工程が連なって進んでいく。一人で全体を担うことはできない。だからこそ、それぞれが自分の担当範囲を確実にやり切ることが重要になる。
    「完成形はまだ見えませんが、自分が関わった部分は、後から変えられない。そういう意識で仕事をしています」(Oさん)
    Iさんも、同じ思いを口にする。
    「一部工程でも、確実に積み上げていくことで、結果として街全体が変わっていく。そのプロセスに関われるのが、この仕事の面白さです」

  • CHAPTER05

    現在地、そして次へ

    Iさんは現在、中井駅~野方駅間連続立体交差事業にも携わっている。東村山での経験を活かし、中井~野方の事業を進めている。
    「プロジェクトは違っても、鉄道を止められないという前提は同じです。一つの現場で得た経験が、次の計画に活きていくと感じています」
    長期にわたる事業の中で、経験は確実に積み重なっていく。

  • EPILOGUE

    鉄道と街の基盤を、未来へつなぐ

    連続立体交差事業は、まだ完成していない。しかし、今日の判断や工事は、確実に未来の街を支える基盤になっていく。鉄道土木・建築の仕事は、線路を敷くだけでも、構造物をつくるだけでもない。鉄道と街、その両方を見渡しながら、将来につながる判断を積み重ねていく仕事だ。鉄道と街の基盤を、未来へつなぐ。その一翼を担う土木・建築技術者の仕事が、ここにある。