

事務系が動かすのは、
書類ではなく「沿線の未来」02
鉄道会社の事務系の仕事と聞くと、デスクワーク中心で、現場からは距離がある。そんなイメージを持つ学生も少なくないだろう。しかし、西武鉄道の事務系が向き合っているのは、「この沿線に、これからも訪れたいと思ってもらえるか、暮らしたいと思ってもらえるか」という、極めて現実的で、時間軸の長い問いだ。西武鉄道が掲げる「沿線価値創造」とは、駅やその周辺を開発すること自体をゴールにする考え方ではない。鉄道を軸に、街の在り方を考え、必要な機能を整理し、人の流れを少しずつ変えていく取り組みである。今回話を聞いたのは、事業創造の立場から構想と事業性を考えるKさん、秩父という沿線の最前線で日々現場と向き合うNさん、そしてその価値を社会に伝える役割を担うTさん。立場は違えど、3人に共通しているのは、「沿線を良くしたい」という思いを、仕事として成立させることに本気で向き合っている点だ。

Kさん
事業創造部 / 課長補佐・総合職
駅係員・車掌などの現場経験を経て、経営・事業企画領域やグループ外出向を経験。現在は事業創造部にて、沿線価値創造を「継続可能な事業」として成立させる役割を担っている。

Nさん
秩父市役所(出向) / 総合職
秩父市役所に常駐し、自治体や地域事業者と日常的に向き合いながら、地域の立場に立って沿線価値創造を推進している。地域の声を拾い、形にしていく調整役を担っている。

Tさん
広報部 / 主任・総合職
沿線価値創造施策を取材し、「施策の意義・目的」に共感してもらえるような発信を心がけている。YouTubeやSNS、Webサイトなどを通じて、西武鉄道の沿線活性化の取り組みを世の中に広く伝える役割を担っている。
CHAPTER01

少子高齢化やコロナ禍以降の行動変容など、鉄道事業を取り巻く環境は大きく変化している。地域の持続的な発展に責任を持つ鉄道会社には、鉄道を「走らせ続ける」だけでなく、将来にわたって選ばれ、使われる存在であり続けるための取り組みが求められている。西武鉄道では、沿線を「住みたい沿線」「訪れたい沿線」として発展させていくことを目指し、安全・快適な鉄道輸送を提供すると同時に、沿線価値を継続的に高めていく取り組みを進めている。当社が主体となって、沿線自治体をはじめとするさまざまな団体と協働し、沿線全体の未来を見据え、発展させていく役割を果たしていく。
沿線価値創造に資する仕事は、多岐にわたる。単発の施策で終わらせるのではなく、事業として持続可能な形にしていくために、収益性や事業性を整理・集約する仕事。鉄道事業を通じて沿線観光地への来訪を促進する取り組み。さらに、そうした取り組みの意義や狙いを、社外へ分かりやすく伝えていく仕事も欠かせない。ここでは、西武鉄道の沿線価値創造の取り組みを、事業創造・現場・発信といったさまざまな立場から支える社員の仕事を紹介する。
CHAPTER02

Kさんは事業創造部に所属し、沿線価値創造を単発の取り組みではなく、継続可能な事業として成立させる役割を担っている。
「沿線価値創造って、“いいことをやる”だけだと、必ずどこかで止まるんです」
沿線での新しい取り組みを検討する際、アイデア自体は魅力的でも、
・収益はどこで生まれるのか
・誰がリスクを負うのか
・鉄道会社としてどこまで関与すべきか
といった点が整理されていなければ、社内でも、地域でも、前に進まない。
「“やりたい”という声があるのはスタート地点で、そこから先は、どうすれば続けられる形になるかを考えます」
Kさんの仕事は、現場で上がってきたアイデアや課題を、事業の言葉に翻訳することだ。
・収支モデルの検討
・社内の意思決定ラインへの説明
・地域・自治体・他社との役割分担整理
「Nさんのように、現場で何が起きているかを知っている人がいるから、“これは机上の検討では無理だな”とか、“ここは現実的にいけそうだな”という判断ができます」
構想だけでも、現場だけでも足りない。両者の間をつなぎ、「続く事業」に翻訳するのが、Kさんの役割だ。
CHAPTER03

現在、Nさんは秩父エリアに拠点を置き、自治体、観光協会、地域事業者などと日常的にやり取りをしている。仕事内容は多岐にわたる。
・自治体・関係団体との打ち合わせ
・地域イベントや観光施策の企画調整
・社内の運輸・沿線価値創造・広報部門などとの調整
「秩父での仕事は、“これをやれば必ず正解”という答えがないものばかりです」
Nさんの仕事は、現場で拾った声や違和感を整理し、“実現可能な形”に落とし込むことだ。大きな決裁権があるわけではない。しかし、関係者の間に入り、条件を一つひとつ整えていくことで、沿線価値創造は少しずつ形になっていく。
Nさんはこれまで、駅係員、車掌、スマイル&スマイル室など、お客さまと直接接する現場を数多く経験してきた。
「今の仕事で一番活きているのは、“現場でどう見えるか”を想像できることですね」
企画書上では魅力的に見える施策でも、実際の利用者の行動を考えると、現場では改善の余地がある場合がある。
「駅係員時代にお客さま目線を学んだ感覚が、今も判断基準の一つになっています」
過去の現場経験は、キャリアの通過点ではなく、今の仕事を支える実感のある知識として根付いている。
CHAPTER04

Tさんは広報部として、沿線価値創造の取り組みを社外に伝えている。ただし、やっているのは活動をそのまま紹介することではない。
「同じ取り組みでも、どう伝えるかで受け取られ方は全く変わります」
沿線価値創造施策を発信する際も
・利用者目線で見せるのか
・鉄道会社を主語にして語るのか
・沿線の変化として切り取るのか
によって、反応は大きく違う。
Tさんは、沿線価値創造の取り組みを取材し、「なぜそれをやっているのか」が伝わる形で発信している。
・YouTubeチャンネルの運営
・SNSやWebサイトでの発信
それらを通じて、沿線価値創造を「知っている人だけの話」から社会と共有できる価値へと変えていく。
CHAPTER05

鉄道輸送によるさまざまなサービス向上を図ることで、沿線価値を高める仕事もある。それは、鉄道事業全体を俯瞰し、安全設備の導入推進、利用しやすい運行ダイヤ、快適で利便性の高い駅・車両、効率的な保守作業やより高度な安全管理のための新技術の導入など、社会環境の変化に合わせたさまざまな設備投資計画を取りまとめていくこと。
連続立体交差事業で安全性・定時性が向上することを踏まえ、将来の鉄道ネットワークのあり方を描くこともその中の一つ。
「安全・安心」「利便性向上」をどのように両立させてお客さまに提供していくか、その道筋を組み立てていく。
それは、「鉄道をどう使いやすくするか」「どんな投資が地域の価値向上につながるか」を長期的な視点で考え、ひとつひとつ積み上げて形にしていく仕事だ。
CHAPTER06

沿線価値創造は、誰か一人で完結する仕事ではない。現場で課題を拾う人がいて、構想を描く人がいて、社会に伝える人がいる。それぞれが自分の立場で役割を果たすことで、沿線は少しずつ変わっていく。
「事務系でも、街の変化を自分で体感できる仕事です」(Nさん)
「構想が、現実の事業になる瞬間があります」(Kさん)
「価値を社会に届ける責任があります」(Tさん)
EPILOGUE

鉄道会社の事務系は、決して裏方ではない。地域の中に入り、人と話し、調整し、考え、形にし、伝えていく。その積み重ねが、街の未来を静かに、しかし確実に動かしていく。ここは、チャンスに満ちた舞台。主体的に関わり、街の変化を自分の目で見たい人にとって、西武鉄道の事務系は、確かな選択肢になる。