REAL TALK
仕事も、オフも、キャリアも。
知るほど変わる、旅客サービス職のリアル。
駅係員、車掌、運転士、そして助役。同じ「旅客」の仕事でも、歩んできた道も、仕事の楽しみ方も、これから描くキャリアも違います。
今回集まったのは、車掌として奮闘中のSさん、運転することが大好きなOさん、そして管理職として現場を支えるNさん。実は、3人が顔を合わせるのはこの日が初めて。仕事の難しさから、運転の奥深さ、泊まり勤務、休日の過ごし方、そしてこれからのキャリアまで。話しているうちに、いつしか先輩への“お悩み相談”も始まりました。
外から見ているだけでは分からない、旅客のリアル。3人の本音から、その魅力をのぞいてみましょう。
Talk member
Nさん/ 2008年入社
助役
鉄道業界についてほとんど知らない状態で西武鉄道に入社。駅係員、車掌、運転士などを経験し、現在は助役として所属員や職場を支える立場に。自身の経験をもとに若手の相談にも乗る、頼れる先輩。
Oさん/ 2018年入社
指導主任運転士
駅係員、車掌を経て運転士へ。現在は指導主任運転士として列車を運転するほか、後輩の指導にも携わる。運転することがとにかく好き。特急列車の運転も担当している。
Sさん/ 2022年入社
車掌
駅係員として経験を積んだ後、車掌試験に挑戦し、現在は車掌として勤務。仕事に悩むこともありながら、一つずつ経験を重ねる若手社員。将来は運転士への挑戦も考えている。
CHAPTER 01
皆さんが西武鉄道に入社したきっかけから
教えてください。
Sさん
私は、学生時代にボランティアなどを通じて、人を支えることに興味を持っていました。父が鉄道会社で働いていて、以前は車掌をしていたので、鉄道自体も小さい頃から身近な存在だったんです。子どもの頃、家族で父が働いている姿を見に行ったことがあって。たくさんのお客さまを乗せて働いている姿が格好良く見えて、「私もこんな仕事をしてみたい」という気持ちはどこかにありました。
Oさん
私は、最初金融業界なども見ていましたが、説明会に参加するうちに「自分には合わない」と思うようになって。もともと身体を動かすことが好きで、高校ではチアダンス、大学ではダンスサークルに入っていました。サークルでは、それまでになかったジャズダンスを自分たちで立ち上げたりもして、新しいことに挑戦するのが好きだったんです。鉄道の仕事なら、駅係員、車掌、運転士と、経験を重ねながらいろいろな仕事に挑戦できる。それが自分に合っていると思いました。
Nさん
私は逆に、入社するまで鉄道のことをほとんど知らなかったんですよ。
Sさん
そうなんですか?
Nさん
本当に詳しくなくて(笑)。いろんな業界を見る中で、ずっと座っている仕事より、人と接する仕事の方が自分には向いていると思いました。そこから、小売業などのサービス業を見ていました。その中で、鉄道という選択肢が出てきた感じです。だから、「鉄道会社に入るなら、電車のことをたくさん知らないといけない」と思っている学生さんがいたら、そんなことはない、と伝えたいです。仕事に必要なことは、会社に入ってから覚えていけますから。
Oさん
確かに。入ってから覚えることの方が圧倒的に多いですよね。
Sさん
私は父の影響がありましたけど、それでも最初から鉄道一本で就職活動をしていたわけではなかったです。いろいろな会社を見る中で、「人を支える仕事がしたい」という自分の軸と鉄道がつながった感じでした。
Nさん
入社のきっかけも、最初に持っている知識も、本当に人それぞれですね。
CHAPTER 02
Sさんは駅係員から車掌になって、
仕事はどのように変わりましたか?
Sさん
正直、「転職したのかな?」と思うくらい違いました(笑)。駅係員の時は、お客さま対応や券売機などの機器の取り扱い、乗車券を発売した売上金を扱う仕事が中心でした。でも車掌になると、車内でのご案内放送やドアの開閉など、それまでやったことのない仕事ばかり。運転士さんと一緒に乗務しますが、自分で判断しなければならないことも多くて。単独で乗務するようになって、自分なりに落ち着いて仕事ができるようになるまで、1年くらいかかったと思います。
Oさん
車掌になると、本当に仕事がガラッと変わりますよね。
Sさん
そうなんです。駅で勤務していた時は、電車に乗るお客さまを送り出す側でした。でも車掌になって初めて、目的地までお客さまを「お連れする」側になった。そこで責任の重さも変わったように感じました。今でも苦手なのが放送です。特にトラブルが起きた時、その場で言葉を組み立てて、すぐにお客さまへ伝えるのが難しくて。「どうすれば上手くなるんだろう」って、ずっと思っています。
Nさん
私も車掌の頃は、上手な人の放送をよく参考にしていました。話す速度や声の大きさ、イントネーション、間の取り方一つでも、聞こえ方が全然違うんです。他社の電車に乗った時でも、「この車掌さんの放送、聞きやすいな」と思ったら参考にしていました。
Sさん
やっぱり人の技術を“盗む”んですね。
Nさん
そうそう。いいところをもらって、自分なりにしていく感じですね。
Oさん
運転も同じで、やればやるほど奥が深いですよ。同じ区間でも毎回同じように運転すればよいというわけではないんです。混雑しているか、雨が降っているか、遅れが出ているか。いろいろな条件を見ながら運転します。
Sさん
センスもあるんですか?
Oさん
あると思います。車の運転と少し似ているかもしれません。加速やブレーキのかけ方によって、乗り心地も変わるんです。もっとも、訓練や経験で上達するので、センスは気にしなくて大丈夫ですよ。
Nさん
経験しながら感覚を身につけていく部分がありますよね。
Oさん
そうですね。もちろん決められた速度や操作方法があるんですけど、その中でも「ここでブレーキをかけると、こういう乗り心地になる」と研究していく。私はそういうところが面白いです。今は特急列車も運転しています。特急列車は通常の運賃に加えて料金をいただいて乗っていただく列車なので、特に乗り心地は意識しています。先輩に聞いたりしながら、自分でも研究しています。それに、特急列車担当乗務員でなければ走らない区間もあるので、カーブや速度など、新しく覚えることもたくさんありました。
Sさん
聞けば聞くほど難しそうです……(笑)。実は私も、いつか運転士になりたいと思っているんです。でも、教科書もすごい量ですし、「私に運転のセンスがあるのかな」「本当に一人で運転できるようになるのかな」って、不安しかなくて。
Nさん
大変は大変(笑)。でも、何とかなりますよ。運転士の養成に入ると、年齢も職場も違う人たちが一緒に勉強するんですけど、だんだんクラスメイトみたいになるんです。「みんなで頑張ろう」って勉強会をしたり、分からないことを教え合ったり。一人で全部乗り越えるわけではないんです。
Oさん
指導する人もいますし、周りの仲間もいますからね。
Sさん
それを聞くと、ちょっと安心しました。まずは試験に受からないといけないですけど(笑)。
CHAPTER 03
鉄道の仕事は、
「決められたことを毎日繰り返す仕事」という
イメージもあります。実際はどうでしょう?
Nさん
全然同じじゃないですね。天気も違えば、お客さまも違う。トラブルが起きることもあります。その日の状況を見ながら判断しなければならないので、意外と毎日違うんですよ。今は助役として職場管理をする立場ですが、それでも毎日同じことが起こるわけではありません。職場の規模も、人も、その日の状況も違う。その中でどう対応するかを考えるところは、この仕事の面白さだと思います。
Oさん
運転士も同じですね。同じ列車を運転していても、混雑や天候で条件が変わりますし、遅れがあれば定時運行に戻すことも考える。安全を守るのが大前提ですけど、その中でどう運転するかは毎回考えます。
Sさん
車掌も、お客さまへのご案内は毎回違いますね。何かあった時には、その状況に合わせて伝えなければいけない。私はそこがまだ難しいところでもあるんですけど。でも、子どもが電車に手を振ってくれた時に振り返すと、すごく喜んでくれたりするんです。スマイルカード※を渡して喜んでもらえることもあって、そういう瞬間は嬉しいですね。
Oさん
友達や家族を自分が運転する電車に乗せたことがあるんですけど、「本当に運転してるんだ!」って、すごく感動してくれて。普段何気なく乗っている電車を自分が動かしていることって、周りから見るとすごいことなんだな、と改めて感じました。
Sさん
それは格好いいですよね。
Oさん
自分では毎日やっている仕事なんですけど、改めて言われると「確かに、たくさんのお客さまを乗せて自分が電車を動かしているんだな」と思います。それに、年に1回、運転技術を競う競技会があり、車掌も車内でのご案内放送などの技術を競います。
Nさん
駅にもありますよね。
Oさん
技術を磨いて、その成果を試せる機会でもあります。私はやっぱり、運転が好きなんですよね(笑)。
Nさん
本当に好きなんだね(笑)。
Oさん
好きですね(笑)。今は指導主任運転士になって、教わる側から教える側にもなりましたけど、まだまだ自分自身の運転技術も高めたいと思っています。
※スマイルカード:お子さまなどにお渡ししている、西武鉄道オリジナルのカード。
CHAPTER 04
旅客の仕事というと、「泊まり勤務が大変そう」
というイメージもあります。
Sさん
最初は慣れなかったですね。駅係員の時は、たとえば朝9時に出勤して、翌朝9時に勤務が終わるような働き方です。勤務中には休憩や仮眠があって、早番・遅番によって仮眠に入る時刻や担当する時間帯も違います。一般的な会社員の働き方とは、かなり違うと思います。でも、慣れてからは勤務が終わった後、そのまま遊びに行ったり、出かけたりしていました。
Oさん
平日休みもいいですよね。
Sさん
私は平日が休みになるのが好きです。旅行に行っても空いているし。
Oさん
値段も休日より安かったりしますからね。
Nさん
有給休暇も比較的取りやすいと思います。あらかじめ予定を出しておけば、連続して休みを取って旅行に行く人もいます。「鉄道はシフト勤務だから休みにくいんじゃない?」と思われることもありますけど、実際には休みをうまく使っている人が多いですね。
Sさん
私は休暇を利用して、趣味の推し活をしています(笑)。展示会で「この日に行くと限定の特典がもらえます」という日が平日だったりするじゃないですか。そういう時に休みを取ったり、勤務明けに行ったりしています。旅行が好きな人だと、勤務明けにそのまま飛行機に乗って旅行に行く人もいます。休みを調整しやすいので、趣味がある人には結構いい働き方だと思います。
Oさん
泊まり勤務だと設備も気になると思いますが、乗務所の休憩所や宿泊施設が改装されて個室になっているところも増えています。
Sさん
すごくきれいになりましたよね。細かいところで言うと、ドライヤーも風量があって、より女性が使いやすいものに置き換わりました。女性が泊まり勤務をすることを考えて、細かいところまで設備が整ってきているのはありがたいですね。
Oさん
ただ、勤務時間が毎日同じではないので、体調管理は意識しています。運転士や車掌は乗る列車によって出勤時間が違うので、次の日の勤務時間から逆算して寝る時間を考えたり、しっかり休んだり。運転は集中力が必要なので、オンとオフを切り替えることは大切です。
Sさん
私も次の日の出勤時間を見て、前日の過ごし方を考えます。お酒を飲む時間を早めたり、量を控えたり(笑)。
Nさん
私は管理する立場になって、特に健康管理の大切さを感じますね。身体が資本の仕事ですから。
Sさん
それでも、友達からは「そんなに休めるの?」「結構自由なんだね」って言われます。私自身も、入社前に思っていたよりプライベートは充実しています。
CHAPTER 05
3人は今、車掌、運転士、助役と、
それぞれ違う立場です。
これから、どんな仕事をしていきたいですか?
Sさん
私は、まず運転士に挑戦してみたいです。ただ、さっきも話したように不安はすごくあります(笑)。教科書もたくさんあるし、運転のセンスが自分にあるのかも分からない。今日、お二人の話を聞いて「本当に大変なんだな」と思いました。
Oさん
不安を増やしちゃった(笑)。
Sさん
でも同時に、「何とかなる」という話も聞けたので(笑)。周りの人と一緒に勉強しながら頑張れると分かったのは大きいです。
Nさん
最初からできる人はいないですからね。
Sさん
まずは試験に挑戦して、運転士になれたらいいなと思います。その先については、まだ全部を決めているわけではありません。
Oさん
私は今、運転することがすごく好きなので、もう少し運転士としてやっていきたいです。今年から指導主任運転士になって、これまでは教わる立場だったのが、今度は人に教える立場にもなりました。だから今後は、指導員などにも挑戦してみたいですね。でも、やっぱり運転は続けたいです(笑)。
Nさん
好きなんだね(笑)。
Oさん
好きですね。管理職として活躍されている先輩を見ると格好いいと思います。でも、今の自分は「もっと運転を極めたい」という気持ちの方が強いです。
Nさん
私は運転士から管理職へ進みましたけど、その時は迷いましたよ。運転士を7年くらいやっていて、実は最初の5年くらいは、なかなか思うようにいかなくて。「難しいな」「嫌だな」と思うこともありました。でも最後の2年くらいで、急に運転が楽しくなってきたんです。
Oさん
分かる気がします。
Nさん
ブレーキのかけ方や乗り心地を研究したり、「ここを何分で走れば定時に着ける」と考えたり。自分なりに工夫できるようになって、仕事がすごく面白くなった。だから、管理職へ進むのは大きな決断でした。運転士と管理職では、仕事内容が180度違いますから。でも、後輩の女性社員がどんどん活躍する姿を見るようになって、「自分はこの先に進んだ方がいい」と考えるようになりました。私が入社した頃は、女性社員自体が今よりずっと少なかった。でも今は、女性が働いていることが当たり前になってきた。だったら、自分はその先の役割にも挑戦してみようかな、と。
Sさん
すごいですね……。
Nさん
でも、本当に最初からそんなキャリアを考えていたわけではないですよ。鉄道のこともほとんど知らずに入っていますから(笑)。働いているうちに、次の仕事が見えてきたという感じです。
Oさん
私は今、運転をもっとやりたい。
Sさん
私はこれから運転士を目指してみたい。
Nさん
私は運転士を経験して、今は人を支える側にいる。同じ旅客サービスの仕事でも、それぞれですね。
Sさん
今日、お二人に聞いてみたかったことをいろいろ聞けて、本当にありがたかったです(笑)。
Oさん
私も、こうやって違う立場の人と話すのは新鮮でした。
Nさん
普段、意外とこういう話をする機会ってないですからね。
Sさん
私もいつか、「運転って楽しいよ」って後輩に言えるようになりたいです。
Oさん
なれますよ。
Nさん
大丈夫。何とかなります(笑)。
これから旅客の世界へ進む皆さんへ
Nさん
未来は、
働きながら
見つけてもいい。
私は鉄道のことをほとんど知らずに入社し、最初から管理職を目指していたわけでもありません。駅係員、車掌、運転士と経験する中で、その時々で悩みながら次の道を考えてきました。働いてみて初めて見えてくる仕事や、自分の得意なこともあります。だから、入社する時点ですべてを決めておく必要はないと思います。いろいろな経験をしながら、自分に合った道を見つけていってください。
Oさん
好きな仕事は、
知るほど奥深くなる。
運転士の仕事は、同じ路線を走っていても毎日同じではありません。ブレーキのかけ方や乗り心地など、知れば知るほど奥が深く、今でも新しく気づくことがあります。私はこれからも運転技術を磨きながら、後輩にその面白さを伝えられる存在になりたいと思っています。運転することに少しでも興味がある人には、ぜひこの仕事の面白さを知ってほしいです。
Sさん
迷いながらでも、
一歩ずつ前へ。
私自身、車掌になってからも、分からないことや苦手なことがたくさんあります。でも、困った時には相談できる先輩や、一緒に頑張れる仲間がいます。鉄道の仕事に少しでも興味があるなら、「自分にできるかな」と決めつけずに、まず挑戦してみてほしいです。私もこれから、運転士という次の目標に向かって頑張ります。
子育てとキャリアに関する社内制度